保険診療と自由(自費)診療の違い
皆さまご存じのとおり、日本は医療において「国民皆保険制度」が敷かれています。ほぼ全国民は「国民健康保険」など、何らかの健康保険に加入し、収入に応じた保険料を支払う代わりに、自己負担分を除いて、あとは保険で支払われるので、比較的安価に治療が受けられることになっています。
海外にはない、日本独自の国民皆保険という制度は、約100年前につくられました。以来、社会情勢に合わせて改正・刷新され、今日に至っています。たとえば「高額療養費制度」が保険適用されるようになるなど、経済的な面から国民の健康を守るものとして、多くの皆さまが信頼していることと思います。
一方、この「保険制度」外の診療というものも存在しており、それが「自由(自費)診療」です。これは健康保険の診療と違って、その費用には保険が適用されないので、実質10割が患者さまの負担です。自由診療では、治療や投薬にかかる診療費用などは、基本的に医療機関が自由に決めることができます。しかも、治療の内容や費用に制限がなく、患者と医療機関での個別の契約となりますが、通常は治療計画のご提案などの際に費用も提示するのが普通の手順です。
自由診療は、いわばメニューそのままの全額費用を支払わなくてはならないので、どうしても高額になります。しかも、保険治療と自由診療を併せた治療(混合治療)ができないと定められているため、患者さまはどちらかを選択しなくてはなりません。歯科で主に自由診療に該当するのは、「歯列矯正」「インプラント」「審美治療(保険外の素材=セラミックなどを使用)」、一部の「入れ歯」など、高品質な素材や高度な技術とされるものです。
以上が保険治療と自由診療のシステム上の違いですが、システムや費用だけでなく、さらに大きな違いが、その治療の内容にあります。
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保険診療制度のメリット・デメリットおよびその限界
前述したように、国民皆保険制度のある日本では、保険組合に加入し、保険料を支払うことで受診の際にはわずかな自己負担分だけで済む、という合理的な仕組みが行き渡っています。この100年、国民はその恩恵に与ってきました。特筆すべきは、ほぼ全診療分野において、また大半の治療において、保険適用が叶うということ。患者さま=日本国民にとっては、大変便利で安心なことでもあるでしょう。
ところが、この保険制度にもほころびが見えてきているといわれています。そのポイントは、まず日本の高齢化が加速化する一方で、保険料で支える労働人口が減っていること。つまり、保険制度の収支のバランスが大きく崩れてきてしまっており、政府の財源をおびやかしているのです。そのための対策も講じられてはいますが、やはり多数の高齢者を含む患者さま全体を支える財源が乏しくなっているのが現状です。
次に、医療の高度化による費用の高騰です。日進月歩の医療技術や医薬品の進化は、当然そこにかけた開発費なども含め、高額な費用としてはね返ってきます。そうなると、これまでの保険治療ではとてもまかなえなくなるのは必然といえます。たとえば歯科の分野でも、以前はなかった治療が現在では当たり前のように行われ、しかも優れた治療法は保険が適用されないポジションから始まります。
そんななか、私たち歯科医が実感しているのが保険治療の限界です。「保険適用の範囲内でどれだけのことが患者さまにできるのか」ということを常に感じながら診療にあたっています。実際に保険治療では、いわゆる「予防治療」はできないことになっていますが、そこを工夫して実施したり、時間的に保険以上に超過してでも説明を丁寧に行ったり、できるだけのことを行う努力を重ねています。
また、保険診療では使用できる素材は最低限のものと決められ制限があるため、丈夫さや耐久性の点などで適切とはいえないことも多々あります。たとえば、むし歯の詰めものとしての「銀歯」です。金属アレルギーの方には使用できないのはもちろん、安価だけれども数年後には再治療の可能性も捨てきれません。入れ歯やブリッジも、保険診療の素材では見た目や機能面で万全とはいえません。こうしたデメリットやリスクがありながらも、保険診療で認められているから、あるいは手軽な金額だからという理由で、治療に使われてきたのです。
しかも、保険診療内では本当にできる治療や患者さまと向き合う時間も限られています。その点を前向きに考えた結果、患者さまのお口の健康に貢献するためには、当院では自由診療を積極的に行うこととしています。
ところが、この保険制度にもほころびが見えてきているといわれています。そのポイントは、まず日本の高齢化が加速化する一方で、保険料で支える労働人口が減っていること。つまり、保険制度の収支のバランスが大きく崩れてきてしまっており、政府の財源をおびやかしているのです。そのための対策も講じられてはいますが、やはり多数の高齢者を含む患者さま全体を支える財源が乏しくなっているのが現状です。
次に、医療の高度化による費用の高騰です。日進月歩の医療技術や医薬品の進化は、当然そこにかけた開発費なども含め、高額な費用としてはね返ってきます。そうなると、これまでの保険治療ではとてもまかなえなくなるのは必然といえます。たとえば歯科の分野でも、以前はなかった治療が現在では当たり前のように行われ、しかも優れた治療法は保険が適用されないポジションから始まります。
そんななか、私たち歯科医が実感しているのが保険治療の限界です。「保険適用の範囲内でどれだけのことが患者さまにできるのか」ということを常に感じながら診療にあたっています。実際に保険治療では、いわゆる「予防治療」はできないことになっていますが、そこを工夫して実施したり、時間的に保険以上に超過してでも説明を丁寧に行ったり、できるだけのことを行う努力を重ねています。
また、保険診療では使用できる素材は最低限のものと決められ制限があるため、丈夫さや耐久性の点などで適切とはいえないことも多々あります。たとえば、むし歯の詰めものとしての「銀歯」です。金属アレルギーの方には使用できないのはもちろん、安価だけれども数年後には再治療の可能性も捨てきれません。入れ歯やブリッジも、保険診療の素材では見た目や機能面で万全とはいえません。こうしたデメリットやリスクがありながらも、保険診療で認められているから、あるいは手軽な金額だからという理由で、治療に使われてきたのです。
しかも、保険診療内では本当にできる治療や患者さまと向き合う時間も限られています。その点を前向きに考えた結果、患者さまのお口の健康に貢献するためには、当院では自由診療を積極的に行うこととしています。
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患者さまのために自由診療をご提供
保険制度は「国民全員がリーズナブルな費用で相応な医療を受けられる」という、平等かつ安心な制度であるのは確かです。一方、社会情勢の推移をはじめ、医療技術や機器の進化により、その保険制度だけに頼っていたのでは、患者さまに提供できる医療に限りがあることも明らかになっています。
そこで当院では、自由診療を特別なものとしてではなく、患者さまのために必要な診療一つの手段として、多くの場合でご提案することにしました。もちろん、患者さまの選択肢として保険治療もご提案しますが、あとは患者さまと院長が相談して、いい方向をお互いに模索する道を選ぶことになります。
具体的には、むし歯の再発や詰めものが取れたなど、保険診療なら簡単な治療で済ませるところを、さらに再発を起こさないように安定させる方法を自由診療で提案し、別の道を示すこともあります。多少お金はかかっても、将来的にもその歯の健康が保てるなら、つまりその歯のための再治療がないなら、金額以上の価値があると当院は考えています。
実際には、来院された患者さまの主訴をうかがい、初期の検査を経て、院長が理想とする診療計画ができたところで、患者さまにじっくりと説明する時間を設けます。まず患者さまの現状にとって必要な治療を説明し、さらに将来的にお口の状況が安定するために必要な治療があれば付け加え、そのためには、保険診療ならこの治療、自由診療ならこの治療というように選択肢としてご提案します。この選択肢を選ぶのは最終的には患者さまではありますが、各患者さまの状況にかなう適切な方法をうまく調整し、ご提案することが適切な方法考えます。
現状では、自由診療までの道のりは遠いほうが多いのですが、今後はこの選択肢も考慮に入れて、患者さまご自身が自らの将来のお口の健康について真剣に考えていただきたいと思います。そのお手伝いの第一歩として、自由診療という選択肢を選ばなくても、ご提案だけは聞き入れていただけると幸いです。
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当院が自由診療をおすすめする理由・こだわる理由
当院が自由診療をおすすめする一番の理由は、「時間」の問題です。従来行ってきた保険診療の範囲内ですと、患者さまの主訴に対して説明も治療も十分な時間がかけられないのが実状でした。医療にインフォームドコンセントが必要なのはいまや常識ですが、主治医(院長)が患者さまの口腔内について現在の状態や、そこから立案した将来へ向けての治療法から素材、費用などまで丁寧に説明し、それに納得していただこうとしても、保険の規定内の時間ではまったく足りないのです。
たとえば、むし歯の痛みを取るといった治療は、一刻も早く処置して、患者さまを痛みから解放するのが仕事です。確かにこれは保険診療でOKです。ところが、その歯がさらに「根管治療を必要とする」「被せもの(しかもセラミック)をする」など、別段階の治療を必要とするとなると、さらなる検査も治療も行うことになります。診療計画のご説明も含め、時間をかけることのできる自由診療のご提案の可能性が大きくなります。
自由診療をおすすめするもう一つの大きな要素は、「素材」の問題です。患者さまの現状、さらに将来までを見越せばこそ、将来的に再治療のリスクがある保険内の「銀歯」ではなく、セラミックやジルコニアといった自由診療の素材をおすすめすることになります。これらは高額ではありますが、耐久性や審美性が高く、しかも金属アレルギーの心配のない安心・安全な素材なので、対価としては申し分ないといえるでしょう。こうした納得のいく好適な素材を用い、ある程度の時間をかけて治療することは、目の前の不具合を治療することに加え、それから何年も先のお口の健康を保つことにもつながります。
最後に自由診療をおすすめする理由として大事なのは、何よりも自由診療ならお口の健康に明るい将来が見えてくる点です。実際、患者さまの多くは保険診療と自由診療の実態や、それぞれのメリット・デメリットについて歯科医からじっくりと説明を受けたことがないといいます。それだけ、これまでの歯科医院での治療がどこかで手落ちだったのかもしれません。これからは、できるだけ診療制度の詳細やそれに応じた治療法などを説明し、理解していただいだくことを前提に、「歯のことを真剣に考えたら、自由診療を選択する」という患者さまが増えることを感じています。
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当院の診療スタイル
過去には、患者さまを1日に何十人も保険治療の範囲内で診療していた時期がありました。それは治療というよりも、流れ作業のようでした。患者さまの話をじっくり聞くこともなく、治療の現状も先々のこともしっかり考えられずにいたように思います。治療で口腔内を改善するよりは、むしろ治療することで患者さまの大事な歯を壊していたのかもしれません。歯は天然のものが適切であり、治療するごとに少しずつ欠陥歯になっていくからです。
たとえば、抜歯をする患者さまにその後の治療として、自由診療であるインプラントをより適した治療計画としておすすめします。ただ、いきなりインプラントでは戸惑う患者さまもいるので、その前に保険で入れ歯をつくり、助走期間を設けるという代替案もご提案します。この選択について患者さまに考えていただき、「疑問点などをやりとりする」という時間を経ることで、お互いに信頼関係も芽生えます。すると、その後の診療もスムーズにいくことが見込めるとともに、患者さまも確信をもって次の診療に臨めることでしょう。
当院では、自由診療以外の保険診療(一般歯科など)も続けていますが、自由診療の患者さまには、できるだけ余裕をもって接し、相互信頼を基本にしたコミュニケーションを大事にしていきたいと考えています。「先生とあれこれやりとりしたけど、結果、自由診療にしてよかった」と言ってもらえることを目指しているのです。こうした患者さまと歯科医の、心の交流をベースにした自由診療でよりよいお口の健康を目指す。それが当院のスタイルといえるでしょう。
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